その8 珍しいイモのヒミツ
第5回の味噌汁研究所でご紹介した「サツマイモ」。
ほくほくとしたイモ類は味噌汁との相性バツグンです★
今月は、珍しいイモを3種ご紹介します。
 唐津市内にある「佐賀大学 海浜台地生物環境研究センター」にサツマイモの権威がいらっしゃると聞いて、お話を伺いに行ってきました。
 このセンターは、台地と海の関わりのもとで、生物と環境の資源を守り育てることを目的とした研究施設です。
 生産生態学、浅海域生物資源学、環境情報学、環境社会学の4つの分野について研究が行われています。
 生産生態学の芝山秀次郎教授にお話を伺いました。
 「サツマイモにはカリウム、カルシウム等のミネラルの他、ビタミンB、C、Eや食物繊維が多く含まれていることはよく知られていますが、近年開発されている紫色やオレンジ色の品種その他の系統では、ポリフェノールのアントシアニンやカロテンが豊富なんですよ」
 教授の前に置かれたジュースは、イモの色彩の良さを利用したサツマイモジュースです。ジュースなので飲みやすく、今注目されているポリフェノールやカロテンだけでなく、ビタミンAやビタミンE、ミネラルを手軽に摂取することができます。
以下に、芝山先生から伺った話をまとめます。
 九州のサツマイモの栽培面積は全国の約4割を占め、関東地域とともに主要生産地となっています。しかしその用途は対照的で、関東地域が青果用のサツマイモを生産しているのに対し、九州地域では主にでんぷん原料用のサツマイモを栽培しているため生産が停滞しています。このような状況を打破しようと、農業技術研究機構九州沖縄農業研究センターサツマイモ育種研究室が中心となって、1985年以降、特徴ある新用途向け品種を開発してきました。
 そんな中で、世界初の色素専用品種『アヤムラサキ』が生まれました。それまでの紫肉色系サツマイモは色素含量が少なく、また、当時肉色が最も濃かった『山川紫』は収量性が低い等の問題があり、それらを改善するために交配を繰り返した結果『アヤムラサキ』は誕生しました。
 青果としてではなく、パウダー状にして蒸しパンや麺類などに練りこんだり、ジュースやスナック菓子に加工するなど、主に色素原料として利用されています。
 『アヤムラサキ』には現代人に不足しがちなビタミンB1、ビタミンC、ビタミンE、ミネラル、食物繊維を多く含むうえに、健康機能性として注目されている「ポリフェノール」を非常に多く含むため、肝機能の改善、血糖値の上昇抑制、糖尿病の予防・治療、動脈硬化症の予防、脳梗塞の予防、心筋梗塞の予防、大腸がんの予防などの働きがあり、生活習慣病の予防効果を発揮する食品として注目されています。
 また、普段私たちが食用としている根の部分ではなく、主に茎や葉の部分を利用するサツマイモの種類も開発されています。それが、この『すいおう(翠王)』です。
 『すいおう』は、他のサツマイモの茎葉よりもおいしく、何度でも収穫できるという特徴を持っています。また、ほうれん草や春菊よりも多くの鉄分、カルシウム、カロテンを含み、カルシウムの吸収を阻害するシュウ酸はほうれん草の1/3程度という、他の野菜を上回る栄養たっぷりの新しい野菜です。
 胡麻和えや天ぷらの材料として、パウダー状にしてパンや麺類に、乾燥させてお茶にも利用されています。
 『アヤムラサキ』も『すいおう』も一般に流通していないものなので、芝山教授に紹介してもらい、「佐賀県上場営農センター」を訪ねました。
 こころよく対応してくださり、「こんなイモもありますよ」と言って北海道農業研究センターで育成された『インカのめざめ』という名前の有色ジャガイモを紹介してもらいました。
ジャガイモは、インカ帝国があった南アメリカ原産なのでこの名前が付けられたそうです。
 普段食べているジャガイモよりも黄色が濃く、でん粉価が高いため煮崩れしにくいという特徴を持っています。低温貯蔵するとショ糖含量が増加して甘みが増すので、お菓子にも利用できるそうです。
 珍しいイモ入り味噌汁の作り方 
●材料● (4人分)
イモ・・・適宜
味噌・・・大さじ4 1/3
だし・・・少々

写真は『アヤムラサキ』と『すいおう』の味噌汁の作り方ですが、『インカのめざめ』を使用した場合も手順は同じです。
『アヤムラサキ』は青果用じゃないから、味噌汁の具材としてはオススメできませんよ」と取材した皆さんに言われましたが、あえて味噌汁に入れて食べてみました。
味噌は
あじわい合わせ味噌
を使用しました。
1.イモ類はサイコロ状に切り、水に漬けてアクを抜く。
『すいおう』は生でも食べられるくらいなので、アク抜きは不要です。
アヤムラサキを漬けた水はこんな色に染まりました。
2.たっぷりのお湯で茹でます。
3.(2)の色がついたお湯に味噌を溶く勇気はなかったので、いったんザルにあげました。
4.お湯を沸かしてだしを入れ、茹でたイモ、水洗いした『すいおう』を入れる。
5.味噌を溶いて出来上がり。
 食べた感想 
前田
ムラサキイモとジャガイモの味噌汁は、色もきれいで見るからに身体によさそう。
味もおいしく、言うことなし。
宮田
『アヤムラサキ』のみそ汁の方は、「えっ、みそ汁」ってカンジでした。だって、むらさき色の汁にむらさき色の具が沈んでるんですよ!
食欲をそそる色ではなかったですが、いざ食べてみれば・・!味はみそ汁\(o^o^o)/ 一言で言えば「おいしかった」
そして、黄色のじゃがいもの方は、さつまいも並にホクホクしてこれまたおいしかった。
どうせだから、紫いもと黄色じゃがいもを一緒に入れてカラフルなみそ汁にしたらオシャレ☆じゃないでしょうか
まとめますと、いも類はみそ汁と相性バッチリですね!
印丸
『アヤムラサキ』はあまり甘みが感じられず、具材としては不向きかも。しかし、食感は良い。『インカのめざめ』は、甘みがあっておいしかった。どちらにも入っていた『すいおう』は、食感がよく、味噌汁の具材として適当である。
瀬戸
『アヤムラサキ』の味噌汁
味噌汁が紫色に染まるので、見た目は少し悪いですが、味は普通のサツマイモより甘さ控えめで色の割にはアッサリした味でした。
『インカのめざめ』の味噌汁
ジャガイモと聞いていたのに、サツマイモと間違えてしまいそうなくらい甘くて黄色いイモでした。味噌の塩分とイモの甘さがマッチしておいしかったです。
宮島
イモ2品が揃って色がとてもきれいであった。
『アヤムラサキ』の方は、味が薄いと聞いていたが、思ったよりおいしく、いかにも身体に良さそうであった。
『インカのめざめ』は非常に味が濃く、色も素晴らしい。こんなに美味しいじゃがいもは初めての経験であった。
『すいおう』は格別に美味しくはないが、栄養が豊富そうでよい感じだ。
堀内
『インカのめざめ』の味噌汁は色も良く、味もおいしかったです。
『アヤムラサキ』とにかく色がすごい!色の溶け出し具合にはとても驚きました。楽しかったです。
『すいおう』の葉は味もにおいもあまりなく、食感だけがあるという感じでした。
廣渡
紫色のサツマイモがあるとは聞いたことがありましたが、こんなに色が濃いとは驚きました。さらした水が紫色に染まり、茹で水も紫色に染まり、茹であがったものをだし汁に入れたらそれも紫色に染まりました。ほんのり紫色の味噌汁は、味噌研の研究の成果として大きな一歩と言えるのではないでしょうか。
お話を伺った皆様は「青果用で開発していないから、甘みが少なくて具材としてはオススメできませんねー」とおっしゃっていましたが、決してそんなことはなく、サツマイモ特有のホクホクとした食感とほんのりとした甘みが楽しめました。
『すいおう』は、ほうれん草なみの栄養があるわりにはクセがなくて食べやすく、これだったら野菜嫌いの子供も大丈夫!という感じでした。
 ここでご紹介した新しいイモの取り扱いに際しては、種苗登録法にのっとった許諾手続きが必要です。苗等を購入される場合は、許諾をとられた会社等へお尋ねください。
これからも、具材の開拓に力を注いでいきます★
協力 / 佐賀大学海浜台地生物環境研究センター
佐賀県上場営農センター
参考文献  / 食材図典  小学館
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