【日光街道 北行】
12区  小金井~雀宮
 
   んっ? 犬のみんなが迷惑しています、ですか。
 と思ったら“犬の”の下の文字が消えかかっているのだな、と納得しながらJR自治医大駅を出て農地の間をひたすら進む。
 
 
 巨大な観音様が立つのは、丸大食品さんの工場。丸大さんは、唐津では当社と同じ妙見工業団地に工場があるご近所さんだが、この像は何なのだろうか。動物の命によって成り立っている事業所には供養の塔があることも多いので、これもハムになった豚さんたちを供養するためのものか、と思ったのだが、近付いてみると台座には慈母観音とあるので、ちょっと違うようだ。
 
 
 こちらは、国道沿いに小さなお地蔵さんが10体立っている。夕顔橋の石仏群という風流な名前がついているが、夕顔は栃木名産かんぴょうのもとである。道路に背を向けて立っているのは、今カメラを構えているところがかつては街道だったので、地蔵はちゃんと道の方を向いていたのだが、後方に国道が通ったために背を向ける格好になったということ。この企画を一年以上続けていると、街道沿いの歴史の見方にもずいぶん詳しくなってきたのだ。
 
 
 前回に続きマンホールについて。旧石橋町(下野市)のデザインは写真ではわかりづらいが、赤ずきんちゃんと狼だ。石橋町はグリムの町として、駅舎をメルヘン風にしたり、グリムの館という施設を造ったりしており、このマンホールもその一環だ。
 なぜ石橋町がグリムの町づくりに取組んでいるのかというと、グリム兄弟の故郷に近いドイツのシュタインブリュッケン村と姉妹都市だからなのだが、ではなぜ、ドイツのその村と姉妹都市になったのかというと、シュタインブリュッケンをそのまま和訳すると、Stein=石、Brücke=橋 だからだという。こんな強引なこじつけで盛り上がるのは大好きである。ブリヂストン社の社名の由来が、創業者石橋氏の名前を英訳したBridge=橋、Stone=石だというのと同じ発想だ。
 そんな石橋町は町村合併で消滅したのだが、国土交通省の地図に載っている案内に、この地の名産にちなんだ、石橋かんぴょうマラソン大会とある。なかなか出場意欲をそそられる大会名ではないか。私がこれまでに参加した栃木県の大会は、弊社の工場横を走る宇都宮マラソン、りんご園を見ながら走る矢板たかはらマラソン、フルマラソンの制限時間が4時間と厳しい大田原マラソンだが、かんぴょうマラソンは知らなかった。きっと給水所にかんぴょう巻きがあったり、ゴールテープがかんぴょうだったり、完走章ならぬかんぴょう章がもらえたりするのだろうな、と思って調べたら、石橋町消滅とともにかんぴょうマラソンも消滅したらしい。残念至極。
 
 
   いよいよ宇都宮市に突入する。宇都宮の市章は、六角形と「宮」の字を図案化したもので、当社の商標「亀甲宮」とデザインの基本は共通している。
 宇都宮の市章がなぜ六角形なのかは、市のホームページによると、宇都宮城がかつて“亀が岡城”と呼ばれていたことから、亀の甲の形を採用したとのことだ。
 いっぽう当社の商標だが、キッコーマン社をはじめとして、亀甲(キッコー)を商標とする醤油屋は全国に数多く存在している。そもそもは、醤油の発酵を研究していた技術者が、有機化学のベンゼン環をモチーフにして醤油のブランドを作ったのが発端らしい。
   
亀甲宮 ベンゼン環 宇都宮市の市章
 ベンゼン環は冗談です。
 亀甲の由来については会長コラム(第46回商標)にも書かれているので一部重複するのだが、下総国(現千葉県)亀甲山香取神宮に伝わる神鏡の紋様からとったのが亀甲萬の始まりという伝承や、常陸国(現茨城県)土浦の大黒屋(国分株式会社の前身)が亀甲を使ったところ、他社も使うようになったという記録が残っている。いずれにせよ、亀甲は平安時代以降の伝統的な紋様として受継がれており、それが醤油の商標のひとつとして江戸時代中期以降広く使われるようになったということで、当社もその流れにある。
 
 
 どうも、かわいいイラストを見ると見入ってしまう癖があり、陸上自衛隊宇都宮駐屯地前の看板で立ち止まってしまった。お気軽にと言われても、厳戒警備の門を前にするとかなり抵抗があるのだが、門番の自衛官に「すみません、資料館を見たいんですけど。」とおずおず申し出ると、「はい、どうぞ。」と招き入れられた。しかし、見学者はめったにないとみえて、受付の中では急な来訪者に隊員があたふたしている様子が見て取れた。
   鍵を開けて入れてもらった資料館で、戦争関連の展示品と自衛隊についての説明を見る。震災への災害派遣はここからも出動したとのこと、まことにお疲れ様です。
 自衛隊の資料館は有意義であったが、すっかり体が冷えてしまい、外に出ると北風が身にしみる。やがてJR雀宮駅に到着、宇都宮まではいよいよ電車であと一駅というところまで来た。
 
2012年2月
参考文献
 キッコーマン株式会社八十年史
 平野雅章 日本料理探求全書第11巻
 
今回の走らんか!スポット

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