【日光御成道 南行】
31区  駒込~秋葉原
 
 今から十数年前、前職で首都圏の警察といささか関わりがあった時に(いや、あの、けっして私が容疑者だったとか、不審人物としてリストアップされていたというわけではないです)疑問に思っていたことがあった。それは、警察署には所在地の地名が付いているものだが、東京には存在しない地名を冠した本富士署というのがあって、いったいそれはどこにあるのか、という疑問だ。
 最近になって、今日これから通る本郷の東京大学のある一帯が、かつて本富士町という地名だったことを知ったのだが、その本富士町にあった神社が駒込に移設されたのが駒込富士神社だ。神社は上富士前交番から道一本奥に入った所にあって、富士山を模した小山がなかなかの急斜面でそびえている。前回通った、絶滅の危機に瀕している王子の富士塚同様に、富士山に対する信仰心が現実の高さとして感じられる。
 富士山の世界遺産登録について、私はよく認識していなかったのだが、正確には「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」が世界文化遺産に登録されている。つまり、山そのものが自然遺産なのではなく、富士山を大切に思う日本人の心も含まれた文化遺産なのだ。
 
 
 駒込から本郷に至る道中は寺の町で、通りの両側に寺があり、路地の奥を見るとその先にもまた寺がある。かつて江戸城の近くから集団で移設されたらしい。そんな中にあって、かわいい色鉛筆が目をひく。重ねられた色鉛筆を数えると12本、しかしよく見ると12色ではないようだ。ここは、講談社グループでイラストの通信教育などをやっている会社。あぁ、そういえば、たしか昨年、ビール会社のビヤホール「ライオン」が主催するライオンのイラストコンクールがあり、入選作品はお店のコースターに印刷されるというのが魅力で、ビールに酔った勢いで応募したのだが、その審査を担当したのがこの会社だった。(なお、あえて言うまでもないことだが、もちろん落選したのであった。)
 
 
 東京大学本郷キャンパスに入り、赤門、安田講堂、三四郎池を観光気分で見て回る。キャンパスの主要な部分はもと加賀藩前田氏の屋敷だったところなのだが、調べてみると敷地の一部は唐津藩の下屋敷でもあったのだ。唐津の歴史の一端が思わぬところで顔を出して少々うれしいものだ。
三四郎池
 夏目漱石の小説「三四郎」に登場したことで名付けられた三四郎池は、こんな所にこんな高低差が、と驚く窪地を下りたところにあった。池の水はお世辞にもきれいとは言えないが、周囲には自然が残されていて、散歩や写生を楽しむ人が多く見られた。ところで、小説の三四郎は数十年前に読んだと思うのだが、内容はまったく記憶になく、この池がどう描写されていたかも忘却のかなただ。
 
 さてもう一枚の写真は今日のコースではなく、同じ東京大学でも我が家から走って15分ほどのところの柏キャンパスにある池で、名前を五六郎池という。またいい加減なことを言って、と思われるかもしれないが、東大で働いている信頼できる職員から直接聞いた話なので確かな情報だ。この池に名前を付けようではないか、と東大生と教授と職員がその頭脳を結集して考えた結論が、本郷が三四郎池なら柏は五六郎池にしよう、ということだ。東大もなかなかやるものだ。
五六郎池
 
 
 途中、サッカーミュージアム入口という交差点があったので、これはちょっと寄り道せねばと入り、巨大なスクリーンでワールドカップの映像を少しだけ観賞する。Jリーグの優勝シャーレ(大きな銀皿)と記念撮影できるコーナーがあって、係の親切なおねえさんが撮ってくれたのだが、恥ずかしくてここにはちょっと掲載できない。
 
 
 なんだかんだと楽しむうちに神田明神に到着する。弊社の東京営業所はこのお膝元の神田にあるので、商売繁盛を祈願しなければならないのだが、不義理をしておりお参りするのは今日が初めてだ。
 狛犬が筋骨隆々、威風堂々としており、まことに強そうで格好いい。
 
 境内の囲いの中では神馬が飼われている。平成22年生まれなのでまだ若い芦毛馬で、名前は明(あかり)ちゃん。神馬ならではの風格とか、威厳とか、神々しさとか、そういったものとは無縁で、ただ、かわいい。それにしてもこの神馬、世を憂えているのか単に眠いだけなのか、伏し目がちにただぼ~っと立っている。手を出すとかみます。と注意書きがしてあるので、参拝客は触ることもできず、「かわいいねぇ」などと言いながらただぼ~っと眺めているだけである。
 芦毛のサラブレッドならば年とともに毛が白くなるが、この馬は日本在来種なのかポニーなのか、どういう毛色になるのだろうか。白く美しい神馬になるのかどうか、今後の成長に期待しよう。
 
 
 ここから終点の日本橋まではほんのひとっ走りだが、あわててゴールする必要もないので、秋葉原にて終了する。日曜日の秋葉原駅周辺はたいへんな混雑だ。伝統的な電機電子部品店で真剣に目的の品を探す人あり、大型家電量販店の買物客あり、そして最近のアキバを象徴する若者たちあり。セーラー服やメイド姿の女子高生から逃げるように(ほんとですよ)駅にたどり着く。
 
2013年11月
 
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