【醤油の産地へ 東行】
番外編  銚子とチバニアン認定候補地
 
 醤油の産地を訪ねる旅は銚子に到達して一段落したのだが、せっかくなので足を延ばして屏風ヶ浦の断崖沿いを歩く。約300万年前から30万年前に海底で堆積した地層が隆起したもの。よく見るといくつもの断層が複雑に走っているのが見て取れる。例えば二等辺三角形を描いたような断層は、引っ張る力が加わってできる正断層が左右から発生して交わり、真ん中部分が沈んだと思われる。
 地層といえば、最近話題になっているチバニアンという言葉をご存じだろうか。かなり専門的な話になるのだが、素人の私なりに理解したことを説明しよう。
 方位磁石はN極が北を指すが、実はこれまでの360万年間に少なくとも11回はN極とS極が反転しており(地磁気の逆転)、一番最近では(最近と言うほど最近ではないが)77万年前にその現象が起きている。そして、そのことを確認できる地層が千葉県は房総半島のちょうど真ん中あたり、養老川沿いの崖にある。
 地磁気の逆転を“北極と南極が入れ替わる”と表現すると、「えっ、地球がひっくり返るのですか」と驚く人がいる。なるほど、冗談のようなこの発想が真実だったらおもしろい。地球は太陽の周りを公転しながら自転している。それに加えて、時々でんぐり返るとしたらまさに天地がひっくり返る事件だ。過去360万年に11回逆転したのに、この77万年逆転していない。ということは、そろそろでんぐり返ってもなんら不思議ではない。(本当は地球深部に存在する溶けた鉄の対流の変動によって発生するもので、地球はひっくり返らないらしい。)
 ところで、地球ができて以来の46億年の歴史を地質学では115の時代に区分し、各々の時代区分が明確に特定できる地層を世界標準として各一ヵ所認定している。この地点をGSSP(国際標準模式層断面及び地点 Global Boundary Stratotype Section and Point)というが、77万年前の第4期更新世中期の始点を示すGSSPはまだ認定されていない。
 今月、千葉県の地層がこのGSSPにふさわしい、と茨城大学や国立極地研究所などのグループが国際地質科学連合に申請した。認められれば日本初のGSSP認定なのだが、イタリアも申請しており、どちらになるかわからない。認定されると、その時代区分は地名の語尾に-ianまたは-nianを付ける慣例になっているので、千葉が認められた場合は“チバニアン(Chibanian)”が、77万年前から始まって12万6千年前までの時代の国際的な名称になる。
 そのチバニアン候補の場所について事前に情報を収集してみると、たいへんアクセスが悪く整備もされていないので、汚れてもよい服装と濡れてもよい靴で行くこと、大雨が降った翌日は川が増水していて危険、と警告されており、気楽に行ける場所ではないようだ。
 それでも、意を決してやって来た。崖を見たからといって、地磁気の逆転が目に見えるわけではないが、親切に解説されていて、何が起きたのかはよくわかる。
試料を採取した箇所が色分けされた杭で示されている。上部の緑は今と同じ方向の地磁気の層、下部の赤は今と逆方向の地磁気が残っている層、中間の黄色は逆転の過程で方向があいまいな層。
白尾凝灰岩(びゃくびぎょうかいがん)層(Byk-E)。77万年前に噴火した木曽御嶽山の火山灰が積もった層。御嶽山は2014年に噴火して多くの犠牲者が出たことが記憶に新しいが、古くは関東に火山灰が積もるほどの噴火をしている。
 学会の決定は千葉になるのか、イタリアなのか。ぜひとも千葉になってほしいものだが、ここにはイタリアと日本の国旗が並んで掲揚されている。「打倒!イタリア」ではなく、共に地球史の解明に貢献しようという協調の精神が感じられてすがすがしい。
さて、銚子とチバニアン認定候補地で地層を見たので、地層を模した料理をつくってみた。
材料:上から
ブロッコリーと青じそ
弊社 まぜこみご飯の素 牛ごぼう
いり卵とのり(見えないが)
白ご飯
弊社 贅沢炒飯の素 かごしま黒豚の角煮風
いり卵とのり(やはり見えないが)
弊社 まぜこみご飯の素 鮭コーン

 おいしく食べたあとは・・・・・「ご地層さまでした」。
2017年6月
参考:日本経済新聞(関東版)2017年5月6日付、5月14日付、6月7日付
   読売新聞(関東版)2017年5月22日付、6月15日付
   国際層序委員会資料
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