宮島醤油株式会社妙見工場における新たな省エネルギー・環境対応事業

~「平成29年度エネルギー使用合理化等事業者支援事業」の支援を受けます。~


2017年11月20日


 宮島醤油株式会社妙見工場は、経済産業省の「平成29年度エネルギー使用合理化等事業者支援事業」の支援を受け、エネルギー使用の効率化と地球環境に配慮したエネルギー政策を推進し、更に先進的な食品工場へと前進します。

(1)妙見工場の現状

 妙見工場は1989年に設立され、1997年に増設されました。現在の従業員数は370名、年間の生産高は約1万3,000トンで、当社の主力工場です。当工場は増設部分でも建設後約20年が経過し、設備の老朽化による熱効率の低下、電力のムダ、環境未対応素材や燃料の使用などが問題となっていました。今回のエネルギー使用合理化等事業は2013-14年に実施した第1次事業に次ぐ第2次事業となります。

(2)設備計画

  1. 現行のA重油使用コージェネレーション自家発電設備(720 kW×2基)を廃し、液化天然ガス(LNG; Liquefied Natural Gas)使用のガスコージェネレーション設備(G-CGS; Gas Co-Generation System)2基に更新します。LNGはA重油に比べて単位熱量あたり発生するCO2の量が29%削減されます。
  2. これまで熱交換器に使用されてきた環境未対応の冷媒R-22(#注記)の使用を止めます。R-22使用の冷凍機を廃し、代りにG-CGSの排熱を利用した吸収式冷凍機(ジェネリンク)を設置します。
  3. 電気式エアコン(EHP; Electric Heat Pump)21基を更新します。既設分とあわせて61基のEHPに制御機器を搭載し、きめ細かな省エネ運転を行います。
  4. 工場内すべての蛍光灯と水銀灯を廃し、1,163個の照明及び118個の誘導灯を順次LED(Light-Emitting Diode)化します。
  5. 工場全体をカバーするエネルギー計測・制御システムを導入します。

(3)期待される効果

 上記計画の実施により、妙見工場の使用エネルギーは原油換算で年あたり458 kL削減されると見込んでいます。エネルギー削減率は、計算上で15.6%となります。CO2排出量は年あたり約1,200トンの削減が見込まれます。さらに受電と発電のバランスを柔軟に運用することにより、ピーク電力の削減も見込んでいます。
 この事業により、妙見工場はエネルギー効率と環境対応における先進工場(スマート工場)へと大きく前進します。また、3つの工場とすべての事業所において、当社は石油をほとんど使わない会社となります。

(4)事業の規模と実施スキーム

 投資総額は4億300万円。その3分の1にあたる1億3,400万円が経済産業省の「平成29年度エネルギー使用合理化等事業者支援事業」によって支援されます。
 事業はオリックス株式会社と宮島醤油株式会社の共同事業として行います。主な設備投資はオリックスが行い、宮島醤油はオリックスに対してリース料を支払います。国の補助金は、経済産業省から委託された事業実施機関「(一社)環境共創イニシアチブ(SII; Sustainable Open Innovation Initiative)」を通じてオリックスに支給されます。

(5)当社のエネルギー政策の経緯

 東日本大震災以後、当社では「省エネ対策会議」を隔月で開催し、節電、省エネ、環境対応、ムダの削減など総合的なエネルギー政策の立案と実践に努めてきました。燃料については、2012年に本社工場、2013年に妙見工場と宇都宮工場でボイラー燃料をA重油からLNGに切換えました。2013年、妙見工場にLNGサテライト設備を建設し、2015年には宇都宮工場にG-CGS設備を導入しました。妙見工場の1回目の省エネ推進事業に対して「平成24‐25年度エネルギー使用合理化等事業者支援事業」から6,360万円の補助を受けました。

(6)「平成29年度エネルギー使用合理化等事業者支援事業」について

 この事業は地球環境の保全、持続可能な社会、企業の国際競争力の強化等を目指す経済産業省の事業です。今年は工場・事業所単位の事業について全国から1,034件の応募があり、去る8月31日、当社の事業を含む411件が採択されました(採択率39.7%)。411事業全体による省エネ見積りは原油換算で年間177,048 kL、平均省エネ率21.2%とされています。

(7)冷媒に関する注記

 冷媒R-22の成分はクロロジフルオロメタン(Chlorodifluoromethane)。化学式はCHF2Cl。俗にハイドロクロロフルオロカーボン(Hydrochlorofluorocarbon)とも呼ばれるので、HCFC-22と記されることもある。RはRefrigerant(冷媒)。
メタン(CH4)の水素原子のいくつかがフッ素原子に置き換わったものをフルオロメタン(Fluoromethane)類、あるいはもっと広い言葉としてハロメタン(Halomethane)類という。工業界ではフロン類あるいはフルオロカーボン(FC; Fluorocarbon)類と呼ばれることが多い。冷媒として使われる場合はR-xxと記される(xxは番号)。とても安定で壊れにくい分子なので、永く大気中に存在し、オゾン層破壊、地球温暖化などを引き起こすと見られている。
歴史的にはCFC(Chlorofluorocarbon)が最初に普及し、デュポン社の商品名「フレオン」で知られた。これは「狭義のフロン」、「特定フロン」とも呼ばれ、現在は使用が禁じられている。地球環境を悪化させる性質を弱めたHCFC(Hydrochlorofluorocarbon)がしばらく使われてきたが、これも先進国では2020年までに全廃するという国際合意がなされている。今回廃止するR-22はこの範疇に入る。

この件に関するお問い合わせ先

受付窓口 : 宮島醤油株式会社 経営企画室 TEL 0955-73-2151
受付時間 : 9:00~17:00(土、日、祝日を除く)

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