自粛中 海の生物のまだまだ続き
8.腔腸動物 クラゲ(海月) (とキクラゲ(木耳))
海水浴をしていて、伸ばした指先にクラゲが触れた時の感触は、ぬるっ、ぬめっ、むにゅっ、ぬらり、いずれにしてもいい感じではない。一方で、中華料理の前菜で出てくるクラゲは、こりこり、ぽりぽり、くにゅくにゅ、なかなかおいしいものだ。そして、そんなクラゲと同じような触感と食感を持つきのこを、先人たちは木に生えているクラゲという意味でキクラゲと命名し、耳のような形をしているので、木耳という漢字をあてた。
ところで、クラゲの英名はjelly fishという。ヒトデ(star fish)と同じく、これもfishじゃないだろ!と突っ込みたくなるが、どうやらfishは魚という意味だけではなく、水生生物全般を指して使われることもあるようだ。
このjelly fishという英名についてだが、クラゲがゼリー状の生物だとされていることに注目したい。それでは、他にjellyがつく生物があるのだろうかと探すと、なんとキクラゲがjelly earなのだ。日本でも西洋でも、クラゲとキクラゲは似たようなものだと認識されていて、しかも、耳の形に似ているから日本では木耳、西洋ではjelly earと、これも共通している。人は誰でも同じようなことを考えるのだな。
さて、私たちはクラゲもキクラゲも主に中華料理の食材として食している。和食でも食べることはあると思うが頻度は少ないし、洋食ではメニューすら思い浮かばない。それはともかく、ここでは私なりに腕をふるって、小料理屋の突き出し風一品をつくってみた。いかがか。
(クラゲとキクラゲの食べ
9.魚類 金魚
突然、海の生物ではない金魚が登場することをご容赦願いたい。写真は弊社宇都宮工場の排水処理場にいる金魚なのだが、どうしてここに金魚がいるのかを説明しよう。宇都宮工場では醤油や味噌ではなく主にレトルトのカレーやスープなどを製造しているのだが、その過程で出る排水には当然ながら食品の残りかすが含まれている。それをきれいな水にするには、まず学校の25mプールくらい大きくて、しかももっと深い曝気槽と呼ばれる巨大なプールに入れて、ポンプで空気を送り込みながら微生物の力でタンパク質や炭水化物を分解する。さらに沈殿槽というプールに移して汚れを沈殿させ、上澄みの水のみを工場外、工業団地全体の排水処理場に送る、という過程を経ている。
その沈殿槽では魚が飼えるのではないかと思って、私が宇都宮市内のホームセンターのペット売場で金魚を買って放したのだ。もし、新入社員が会社で金魚を放していたら、「こらっ、何やってんだ」と叱られるところだが、そこは副社長の役得ということで黙認されている。金魚と一口に言っても種類によってはたいへんお高いのもいるが、これは金魚の中で一番安価な小赤とよばれているもので、祭りの金魚すくいで見かけるあれだ。
排水処理場で金魚を飼うことには会社としても意味があって、「この食品工場ではおかしなものは使っていません、その証拠に排水の中で金魚がすくすくと育っています」、と言えることだ。まあ、そんなことより、ただ飼ってみたかっただけなのですけど。
排水処理場の水は、人が食べるはずだった残りを微生物が分解している途中のものなので、栄養が豊富であることは間違いない。人が肥満になる要因として、家でごろごろテレビを見ながら高カロリーのスナック菓子などを際限なく食べる、ということがあるが、金魚にとってのこの環境は、それを上回るものがある。なにせ、口を開けて水を吸い込めば、それはすなわち栄養摂取行為なのだ。人の場合に例えれば、空気中に炭水化物や脂肪が含まれているようなものだ。しかも、家庭の小さな水槽とは比較にならない大きなプールで悠々と暮らし、自然界と違って外敵に命を脅かされるストレスもない。
このような恵まれた環境で育った金魚は、さてどうなったでしょう。体長3cmほどだった小赤は、数か月のうちになんと30㎝になったのです。
「えっ・・・これって・・・もしかして・・・こい❤・・・?」
「違います!!!」
2021年3月