106区(連載143回) 二宮~真岡
今月は長野県へ行くのをやめて、弊社の宇都宮工場がある栃木県を巡ろう。栃木県内で圧倒的な発行部数を誇る下野(しもつけ)新聞によると、栃木県はいちごの生産量が54年連続日本一、作付面積は21年連続、産出額は27年連続で日本一と他県を寄せ付けていない。そんなわけで、栃木県は自らをいちご王国と称しているし、昨年2022年に栃木県で開催された国体は“いちご一会とちぎ国体”という愛称だった。もちろん、この愛称は“一期一会”をもじったものだが、私は“いちごいちえ”の響きが“いちげよしえ”に似ていることを知ってから、あの女優さんの笑顔が頭から離れない。
栃木県のいちごと言えば“とちおとめ”が有名だが、今年からは2018年に開発された“とちあいか”への切り替えを県は積極的に進めている。ためしに“とちおとめ”と“とちあいか”を食べ比べてみると、なるほど後者のほうがおいしいような気がするが、いやどちらも十分においしい。
栃木県内でも、いちごの一番の産地は県南部にある真岡市だ。写真は下野新聞のいちご特集に協賛して掲載する一面広告用に、真岡市にある「道の駅にのみや」の大きないちご看板の前で撮影したもので、左から工場管理課の課長、私、工場長、製造課の課長なのだが、私以外の3人は地元真岡市出身だ。もっと笑えばいいのに。
真岡市内の旧二宮町から、五行川という川に沿って北上する。川沿いの土手には桜並木が続いていて、花の季節にはさぞきれいなのだろうが、残念ながら少し早かった。ところで、五行川という由緒ありそうな名前の由来は何だろう。五行より少し短い三行半であれば“みくだりはん”と読んで、江戸時代の離縁状のことだ。誰と誰は婚姻を解消し、今後誰かと再婚することになっても異議はないということを三行半で書いた文書のことで、内容からすれば離縁状であると同時に離婚届、あるいは再婚許可証のような意味があったのだろう。
その離婚届に一行半書き加えると五行になるわけだが、何を書いたのだろうか。二人で見た五行川の桜はきれいだった、などと未練たらたらと書いた・・・わけはない。
なお、五行川は茨城県に入ると勤行川(ごんぎょうがわ)とよばれることが多いそうだ。
真岡市内で今日見かけたバスはかわいい柄の“いちごバス”で、乗った鉄道はスイカ柄の車両だった(ただし、スイカの皮と身の上下が逆だし、皮が厚くて身が少ないが)。この真岡鉄道は茨城県の筑西市から栃木県の茂木町までの路線で、休日にはSLも走って観光の目玉になっている。真岡駅にはSLが展示されているし、駅舎は巨大なSLを模したものなのだが、それはさておき、車両がなぜスイカ柄かというと、筑西市は小玉スイカの生産量が日本一なのだからなのだろう。スイカ列車なのにスイカ(Suica:JR東日本の交通系ICカード)が使えなかったのはご愛敬だ。
2023年3月