走らんか副社長
【栃木県】

108区(連載145回) 真岡~益子

北国街道を北上する長野県の旅はだんだん自宅から遠くなって、さすがに毎月更新するのは難しくなったので、栃木県探訪も並行しようと思う。私はいろいろな場で栃木県が大好きだと言いながら、まだまだ県内でその地の地面をこの足で踏みしめたことのない市や町がたくさんある。県内全市町制覇を目指して、しらみつぶしに歩いてみよう。

まずは前回の続きで真岡市だ。私の頭の中にある真岡のイメージは、工業団地がたくさんあることと、日本一のいちごの産地であることだった。しかしながら中心市街を歩いてみるとたいへん古い歴史があって、真岡城址も残っているし、かつては木綿の産地であったという古い街並みが残っていた。

真岡城址 堀の奥には小学校がある

ところで2023年は、ほぼ今の姿の栃木県ができて150年目にあたり、県では記念企画も計画されている。栃木県の地方紙である下野新聞社はすでに「明治維新150年 栃木県誕生の系譜」という書籍を発刊しているのだが、この本にはかつて佐賀藩が栃木、特にここ真岡に多大な影響を及ぼしていたこと、初代栃木県令(今の県知事にあたる)が佐賀藩出身の鍋島貞幹(のちに幹)であったことなどが詳しく書かれている。

佐賀が真岡および栃木県に与えた影響はどうだったのか、この本を読んでも私はその功罪を判断しかねている。統治が難しかった真岡を鎮圧するにあたって、なんといってもこの地の代官が佐賀藩出身者によって斬殺されているのだ。栃木県側からみて、ここはならず者が多い地域だったので多少の強引な手法はいたしかたなく、よくぞ治めていただいた、なのか、乱世に乗じたとんでもない悪政だったのか、人によって解釈は違うだろうし、ちょっと歴史をかじっただけで軽々に論じるべきではないと思う。

ところで佐賀県では、佐賀新聞社も同じく明治維新150年企画として「さが維新前夜」という書籍を発刊している。この、下野新聞社と佐賀新聞社の本を読み比べてみると、同じように明治維新をとらえながらも対象的で、前者には栃木と佐賀の関係について20ページ以上にわたって記述がある一方、後者には一言も出てこない。歴史は何に焦点を当てるかによって記述内容が変わるのは当然だとはいえ、栃木を愛する佐賀県出身者としては、おいおい無視しないでくださいよ、と言いたくなる。


益子町の市街地に入る前に、立派な長屋門がある外池酒造さんの酒蔵の前を通る。燦爛というお酒が有名なお酒屋さんで、ふらふらと入ってみる。お土産に自分で飲む酒を買ったのだが、同伴者は売店で売っている甘酒ソフトクリームを食べたいと言う。まぁこういう類のものは、(醤油ソフトクリームなどというものを当社もイベントで売ったことがあるが)話題性だけで味は二の次というのが多いと思うのだが、いい加減疲れていて身体が甘いものを欲していたせいもあるのか、たいへんおいしくいただいた。お店の方に「お水もどうぞ」と言われて、酒の仕込み水を飲んだのだが、これがまた、いやぁなんとも疲れた身体にしみわたる、おいしい水だった。おいしい酒はおいしい水から、なのだな。


暖かくなって、宇都宮工場の従業員駐車場には、工場長と工場管理課長が育てたチューリップが一列に並んでかわいく咲きました。日々働いていただいている従業員の皆さんに少しでもなごんでいただけたら、と思うのだが、車の陰であまり目立たないのが残念だ。

2023年5月

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