走らんか副社長
【栃木県】

117区(連載154回) 高根沢~那須烏山

写真はJR烏山線の終点烏山駅に停車中の列車で、宇都宮駅への進行方向を向いて撮ったもの。何の変哲もない写真と思われるかもしれないが、昔なら鉄道ファン、今の言葉で言う鉄オタならば、この写真の珍しさに気付いてくれるだろうか。


どこが珍しいのかを説明しよう。列車の屋根についているパンタグラフは上の電線に触れているが、その電線はすぐに途切れて、この先の線路の上部にはない。じつは烏山線は電化されておらず、普通こういう場合にはディーゼルカーが走っているのだが、これは充電して走る電池列車で、終点のこの駅で折り返しを待っている間に充電しているところなのだ。
 私はこの後、一駅先の滝駅まで乗ったのだが、ディーゼル車特有の排気ガスと臭いがなく、“ういぃーん”という軽快な電気音とともに快適な走りでありました。
滝駅まで乗ったのは、近くの龍門の滝まで足をのばすためだったのだが、どうしてこんな場所にこんな岩盤が出現するのだろうか、と地学的にちょっとした感動の場所だった。写真も撮ったのだが、ここは観光案内をする場面ではないので省略しよう。


那須烏山市の手前の高根沢町は3か月前の114区で通ったのだが、少しだけ書き加えておくと、名物に高根沢ちゃんぽんというのがある。ちゃんぽんは長崎県が本場だと思っている人が多いだろうし、実際そうなのだが、宇都宮工場の社員から「こっちでちゃんぽんってったら高根沢ちゃんぽんだっぺ」という意見があって、それでは、と私は同町にある“元気あっぷむら”という温泉施設兼道の駅まで行って食べたのだった。まず、スープが九州のちゃんぽんで見慣れた白濁したものではなく、緑色なので「ぎゃっ」と驚く。地元で採れた小松菜をすりつぶしたらこの色になったそうなのだが、食べてみると見た目ほどの強烈なインパクトはなく、おいしいものだった。
 長崎県が本場のちゃんぽんだが、隣の佐賀県もがんばっている。当社の“ちゃんぽんスープ(粉末)”は1970年代に発売したロングセラー商品だし、昨年には濃縮液体タイプ二人前の“伊万里ちゃんぽんスープ(濃縮)”も発売した。同名の有名ちゃんぽん店店主の監修を受けたもので、どうぞご愛顧のほどよろしくお願いします。


地方自治体にはその自治体のマーク、市であれば市章が定められている。ほとんどの場合、市の名前の一部または全部(漢字だったり、ひらがなだったり、カタカナだったり)を図案化したもので、またほとんどの場合単色だ。ところが那須烏山市の市内で見かけた市章はどちらの原則もあてはまらない、なんとも愉快な市章だ。市のHPによると、山とおひさまのイメージは恵まれた自然環境とあたたかい人とのふれあいを表現し、上部の3つの点はその中で豊かな生活を営む知恵を表しているそうだ。いやぁすばらしい、というか私の好みだ。

那須烏山市の市章

那須烏山は、日本一の移動式野外劇と称される“山あげ祭り”が有名で、山あげ会館でその勇壮かつ華麗な様子を少しだけ感じることができる。
 各地の市や町を巡っていて感じるのは、街の中心部の商店街が疲弊してシャッター街になっていることだが、そんな中でここ那須烏山市はまだまだ頑張っている印象を受ける。きっと、祭りで団結して盛り上がっているからじゃないの、とは同伴者の感想だ。
 ところで私なりに、なす・からす山市の市章を考えてみたのだが・・・。本家にはかなわないですね。

2024年2月

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