走らんか副社長
【番外編(連載111回)】

自粛中

新型コロナウイルスの感染拡大により、外出の自粛が続いている。当社の企業活動も感染防止に万全の注意を払いながら、在宅勤務やテレビ会議を取り入れつつしのいでいる。不要不急の外出は控えるように、と言われると、このコーナーの原稿を書くために遠出をするなどというのは、不要不急の最たるものなので連載をお休みにしたのだが、そのまま再開できないでいる。

このままの状態が続くと、副社長はどこへ行ったのか、何をしているのか(いちおう仕事はしています)といった声が出てきそうなので、近況報告をしよう。


実はこのコーナーを休むだけでなく、そもそも私は走ることを休止している。感染の拡大が話題になり始めたばかりのころは、まだマスクをせずに走っていたのだが、はぁはぁぜぇぜぇ息をまき散らしながら走るランナーこそはマスクを着用すべきだ、という風潮になってからは、走ることをやめてしまった。ランニングそのものは“密”な行為ではないが、常に2mの社会的距離をとるように、と言われても、人とすれ違う時や追い抜く時にはどうしたって一瞬接近してしまうじゃないか。マスクをすると呼吸器系に負荷がかかるのでトレーニング効果が上がる、と言う人もいるが、それはその通りだとしても、私はマスクをしてまで走りたいのかと自らに問えば、そこまでの思い入れはないへなちょこランナーだ。

マスクをしたランナーはまことに愛くるしい。違う!!見た目はむさ苦しい。本人は暑苦しい、息苦しい。それに、私の場合はさらに悪い事情が重なるのだ。5年ほど前に眼の炎症で手術をして以来、走るときには直射日光を避けるために必ずサングラスを着用しているのだが、これにマスクが加わると、スポーツ刈りにサングラス、マスク、と絵に描いたような不審者像が完成するのだ。こんな姿で走っている男は逃走中の強盗犯にしか見えない。人通りの少ない早朝や深夜に走るとよいとか、マスクよりも(正式な名称は知らないが)顔の下半分をすっぽり覆う筒状の布のほうが呼吸は楽だ、とかいう意見もあるが、そんなことをしたら本当に強盗だ、Gou touキャンペーンだ。


そんなわけで走るのはお休み中だ。桜の季節、新緑の季節は楽しむことなく過ぎ、例年になく激しい梅雨が列島を縦断している。マスクをしなくても堂々と走れる平穏な日常はいつ訪れるのだろうか。馬鹿な文章を書いて笑っていただける日が早く復活することを願うばかりです。

宇都宮工場の近く、栃木県真岡市のそば畑

2020年7月