自粛中 どこまで行っても海の生き物
36.フナムシ(船虫)(節足動物)
皆さんは、ふなむしをご存じだろうか。ああ、フナを塩漬けにして発酵させたあれね、臭くて食べられないという人が多いだろうけど、僕は好きですよ。って、そりゃふなずしです。
フナムシは、海岸の岩場や防波堤などをすばやく走り回っている小動物で、わかりやすく説明するなら、ゴキブリに似た生き物だ。しかし、動きがGそっくりだから昆虫だろうと考えたとしたら、これは節足動物なので拙速だ。ダンゴムシを大きくすばしっこくしたようなもの、という説明の方がわかりにくくても正しい。Gが多くの人に忌み嫌われているように、フナムシもそう好かれるものではない。また、Gは部屋の中でたたきつぶして達成感やざまあみろ感を味わうことができるが、フナムシはすぐに岩かげに隠れるので、つかまえるのは容易ではない。私も子供のころつかまえたいと挑戦したことはあるが、とてもじゃないができなかった。
フナムシは魚釣りのエサに使うとたいへん良く釣れるらしい。しかしあれをどうやってつかまえるのだろう、と疑問だったのだが、実はとても簡単につかまえる方法があるらしい。ちょっと深さのあるプラスチック容器に食べ物(フナムシは雑食性なので、人が食べるものならたぶん何でも)を入れて岩かげに仕掛けておけばフナムシがホイホイと入ってくるらしい。なるほどやってみよう、と思っても、フナムシがいるような場所にはもう何年も行っていないし、そもそも私は釣りをしないので試すことはおそらくないだろう。
37.クジラ(鯨)(哺乳類)
いちばん最近フナムシを見たのは何年前だろう、と考えてもはっきりとは思い出せないが、いちばん最近鯨を食べたのはそれよりももっとずいぶん前のことに違いない、というくらい縁遠い食べ物になったクジラ。私が子供のころは食卓に時々登場していたし、ある年代以上の人がよく話題にするように、クジラの竜田揚げは給食のおかずの定番だった。竜田揚げは嫌いではなかったが、子供にとっては噛むのにかなりの労力が必要だったように記憶している。
クジラは英語でWhale。その昔、プロ野球に今の横浜ベイスターズの前身で大洋ホエールズというチームがあった。捕鯨をやっていた大洋漁業(現マルハニチロ)が親会社だったので鯨がチーム名になっていたのだが、その大洋ホエールズの1970年代のユニフォームは赤(オレンジ)と緑だった。私はこのチームのファンではなかったのだが、このユニフォームは特別に印象深いものなのだ。
かつて、大洋ホエールズというプロ野球チームが
あって、こんな色づかいのユニフォームでした。
私はこのユニフォームを見て、なんとかっこ悪い、ダサい(そんな言葉は当時なかったですけど)ユニフォームなのだろう、どうしてこんな色にしたのだろう、と疑問に思ったのが、私が色覚(色を判別する能力)を意識するようになったきっかけだ。
実は私は色弱(色覚異常)なのです。色弱とは、色気の誘惑に弱い人のことで、私の場合は・・・。いやいや、色弱とは特定の色調(多くの場合赤と緑)の判別が先天的に難しい人のことで、例え話として、つつじの花が咲いても、色弱の人は緑の葉と赤い花が区別できないので花に気づかない。花が枯れて茶色になってはじめてわかる、と言われたりする。この例え話が正しいのかどうかは疑わしいが、私はそれほどひどくないので、つつじが咲いたことはわかるし、日常生活に支障はまったくない。
しかし、私がある色を見て感じている印象は、色覚が正常の人のそれとは違うわけで、大洋ホエールズのユニフォームも色覚正常な人が見ればかっこいい、強そうな色づかいなのだろう、と当時の私は無理やり納得したのだ。
赤と緑の色づかいは、一般的には少なくとも悪くは思われていないようで、クリスマスの装飾がそうだし、JRの電車の色にも使われている。スポーツの世界では高校駅伝に赤パンツに緑シャツという強豪校がいる。いずれも私にとっては「なんだかなぁ」と思ってしまう色なのだ。
鯨の話から大きくそれてしまってお叱りを受けそうだが、まあそう目くじらをたてないで。
2022年6月