チャレンジャーM
勤続3年目の24歳。女。
チャレンジャーS
勤続4年目の25歳。女。
記念すべき第1回目は『能』に挑戦★
『能』なんて自分たちとは縁遠い世界と思っていた2人に、観賞のチャンスが訪れたのは9月某日。吉野ヶ里遺跡で行われる『吉野ヶ里観月会薪能』に協賛した弊社宛てに、招待券が2枚送られてきたのでした。
演目は『羽衣』。シテ:天女は、五十六世 梅若六郎さん、ワキ:漁師の白龍は、坂苗 融さんでした。

※シテ:ひとつの物語の主役。ヒーロー、ヒロイン。
 ワキ:ひとつの物語が始まり、終わる。その場に立ち会う人。
『能』についてほぼ無知だったので、能 狂言ホームページや、白洲正子さんの本、能に関する本などで予習していきました。
「能って、何?」
松岡心平 編/新書館
それによると、『羽衣』のあらすじは・・・
ある日、漁師の白龍が三保の松原で松にかかった美しい衣を見つけます。家の宝にしようと持ち帰ろうとしたところ天女が現れ、「返してほしい」と頼みます。白龍は拒みますが、天女は羽衣がなければ天に帰ることができないと悲嘆にくれます。可愛そうになった白龍は、舞を見せてくれるなら羽衣を返そうと思いますが、返せばそのまま天に帰ってしまうのではないかと疑います。すると、天女は「疑いというのは人間にしかない、天には偽りというものはない」と言います。自分を恥じた白龍は羽衣を天女に返し、羽衣を身にまとった天女は世にも美しい月世界の舞曲を舞い奏でます。
吉野ヶ里に着いたことろで、お月見にふさわしいお菓子と一緒にお茶を一服。
『羽衣』が演じられる前に、「能楽体験教室」が開かれました。白足袋着用で参加。太鼓、笛をはじめとした楽器や、すり足を体験させてもらいました。
ひと口に「すり足」といっても、女の人の歩き方、幽霊の歩き方・・・などがあるそうです。少し腰をかがめ、背筋を伸ばして歩くのは思ったよりも難しく、なかなか思うように前に進めません。
体験教室は実際の舞台の上で開催されたので、普通だったら見ることのできない、舞台そでを見ることができました。
舞台横のテントでは着替えや音出しが行われており、緊張感が伝わってきました。
残念ながら公演中の写真はありませんが、薪の明かりに照らし出された舞台の上は、★幽玄の世界★そのものでした。上のあらすじを見て「これだけの内容で約1時間も公演があるのだろうか??」と思っていたのですが、天女の舞に見入っているうち、あっというまの1時間でした。
天女(面をつけていた)と漁師(客席に背中を向けていた)、どちらも男の人の声なので、どちらのセリフなのか一瞬分からないこともありましたが、予習をしておいたお陰で、大まかなセリフの内容を理解することができました。
「よーっ」という掛け声の後、小鼓・大鼓・太鼓が一拍「ぽん」と合わせて叩くところにはなんとも言えない間があり、指揮者もいないのにぴったり合わせられるとは、これが『呼吸』というものなのだと感じました。
開演前の舞台
公演が終わって見上げた空には、輝く月がありました。

『能』なんて私たちには縁遠いもの、と思っていましたが、ある程度内容を頭に入れて観賞したら舞台上の流れを充分理解することができたし、笛を吹いていた吉川さんは同世代だったので、前よりも『能』が身近に感じられるようになりました。