恐いもの知らずのチャレンジャーが、様々なことに挑戦するこの企画。
いろいろな経験を通して、2人のチャレンジャーが
大きくなっていく様子を見守ってください。
チャレンジャーM
勤続4年目の25歳。女。
チャレンジャーS
勤続5年目の26歳。女。
第5回目は『坐禅(ざぜん)』に挑戦!
 
 第4回「托鉢(たくはつ)」でお世話になった長得寺(曹洞宗)では毎週水曜日の朝7時から坐禅会が開かれています。
 
 坐禅(ざぜん…仏教の修行法の一つ。主として禅宗で行う。古代インドの修行形式を取り入れたもので、修行者は禅堂で結跏趺坐(けっかふざ)あるいは半跏趺坐(はんかふざ)し、半眼の姿勢をとる。精神を統一し、無念無想の境地に入って悟りを求める。)
 
 
 いつもより1時間半早く起きたので、頭がぼーっとしていたのですが、お寺に着く頃にはだいぶすっきりしてきました。
 
 初めてということで、少し早めに行って坐禅の作法を教えて頂きます。実際の手順を実行しながら、一通り説明を受けました。いろいろ手順があり、覚えられるだろうかと不安になりました。
 まず、時計や装飾品は外します。靴下も脱いで裸足になります。ゆったりとした服を着ていった方がよいです。ジーンズを穿いて行って失敗しました。足が組みにくいのです。
 
 そして、いよいよお堂に行き坐禅を始めます。7時に鐘が鳴り、30分間座ります。開始の鐘が鳴った後は、坐禅堂への出入りは禁じられているそうです。
座る前に、坐蒲(ざふ…厚みがあって、丸い座蒲団です。)を立てて右に回しながら形を整え、坐蒲の手前に座り半回転します。
 それから、足を組みます。本来ならば、結跏趺坐(けっかふざ…両足の甲をそれぞれ反対のももの上にのせる。)という形で組むのですが、できない場合は半跏趺坐(はんかふざ…片足をもう一方の足のももの上に組んで座ること)の形で組みます。辛くなったら、足を組みかえてもいいそうです。最初は大丈夫かもと思ったのですが、次第に痛くなってきたので一度組みかえました。
 
 姿勢を整えます。最初は大きく、徐々に小さく左右に身体を揺らし、中心で静止します。背筋をのばしつつ、身体の力を抜きます。
 印(いん…手指をもってつくる種々の形です。)を結びます。右手を下に、左手を上にして指の部分を重ねます。卵を包み込むような感じで親指を軽く合わせます。足の上に乗せて、おなかの前に置きます。
呼吸は腹式呼吸。短い時間で息を吸って、ゆっくりと吐きます。このリズムを作るのが難しかったです。
 畳一畳が1人分の空間です。(写真はイメージです。)
 目は半分開けたままで、半畳先に視線を落とします。
 音を受け入れるのはいいけど、追ってはいけないそうです。いつもは気にもとめない鳥の鳴く声や風の音が聞こえてくると、ついつい「あっ、鳥だ、風だ」と考えてしまいます。
 最初は呼吸のこと、姿勢のことが気になり、雑念に捕われてばかりでしたが、次第に心が落ち着いてきます。
 
 再び鐘が鳴ります。終了するときは最初小さく、徐々に大きく左右に身体を揺らします。それから、立って叉手(しゃしゅ)の姿勢で5分間呼吸に合わせて一歩ずつ前に進んでいきます。
 最後に、鐘が鳴って終了です。
 
 修行中は坐禅堂、東司(とうす…便所)、浴室では会話は厳禁とのことです。坐禅の時につい喋ってしまいました。普段、トイレでぶつぶつ独り言を言ったり、お風呂で鼻歌を歌ったりしているのは仕方ないとしても、坐禅の時くらいは1人で集中しないといけないなと、深く反省しました。
 終わった後で、警策(きょうさく…座禅中の僧の眠けや心のゆるみ、姿勢の乱れなどを戒めるため、肩などを打つ木製の棒。)を見せて頂きました。「今日は使いませんでしたが、なかなか気持ちのよいものですよ」と若和尚がおっしゃっていました。痛気持ちいいのかなと想像してみました。「では、打ってください」とは言えませんでした。
 般若心経を唱えた後、別室に移ってお粥を頂きました。「感謝の気持ちを表すときに、合掌することはとても良いことだから、ぜひ普段からこころがけるといいですよ」と住職がおっしゃっていました。「いただきます」、「ごちそうさま」を言う時には必ず合掌をしようと思いました。